内線IP電話で拠点電話を効率化

内線IP電話機を利用して出張所の電話を効率化

出張所を多く持ち、それぞれに数人しか人を置かない会社様もあります。
出張所の方との連絡は携帯で、という方法もあるでしょうが、問題も多いと思います。
そういった場合には内線IP電話機を利用すると便利です。

内線IP電話機の仕組み

内線IP電話機の構成概要は図1の様になります。

図1 内線IP電話機の構成概要

内線IP電話機はネットワーク端末の為、どこでも同じ様に使用できます。

導入例

私の携わった導入例ですが、本社にコールセンターがあり、通話録音システム・着信応答システム・着信分配システム・留守番電話システム・電話応答履歴管理システムを構築していました。
 導入後地域密着の営業所をいくつか開設したい。営業所は人が少なく不在の事もあるので電話に出る事ができないときや不在の時に本社で代わりに電話に出たいという要望がありました。そのため営業所に内線IP電話機を設置しました。 これにより各営業所は電話に出れないときも不在の時も本社コールセンターのバックアップを受ける事ができ、コールセンターシステムも同じ様に利用できました(図2)。

図2 内線IP電話機導入例

問題点は使用している交換機は営業所のある地域の電話回線を収容できませんでした。そこで営業所の電話番号はフリーダイヤルを使用しました。そのため都内に本社・神奈川と埼玉に営業所という構成でも全く問題ありませんでした。

内線IP電話機ならではのメリット

各拠点の内線IP電話機は通常のビジネスフォンとほとんど全く同じ様に使えます。これにより例えば次の様なメリットが出てきます。

メリット例1:出張所に誰もいなくなった時には本社で電話を受けてもらえる
メリット例2:本社で受けた電話を保留して出張所に転送できる
メリット例3:出張所で受けきれなかった電話を本社で代わりに受ける
メリット例4:出張所の電話用回線が不要になる

これは携帯電話やボイスワープではできない大きなメリットです。

内線IP電話機のデメリット

内線IP電話機は電源が必要
内線IP電話機はLANケーブルで交換機と接続されています。LANケーブルは標準では電気の供給機能がありません。そのため各内線IP電話機に電気を供給するために
 1:電源供給機能を持ったハブを利用する
 2:ACアダプターを利用する
のいずれかが必要です。数台であれば2でいいのですが、台数が多い場合には1を選択しないとコンセントが足りなくなると思います。
 1の場合には必ず予備のハブを準備して下さい。電源供給機能を持ったハブは手に入りにくいからです。ハブが故障して数日間電話が使えないという事も起こりえます。

海外への電話料金を激減させる内線IP電話機

詳細はこちらに記していますが、メーカーによっては交換機のない拠点の電話回線も交換機に収容できます。そのため海外への電話をその国の国内料金でかける事が可能です。しかも発信方法は国内の場合とほとんど変わりません。
 特定国への電話料金が高い場合には検討の価値があると思います(図3)。

図3 海外拠点の電話回線を利用した通話で電話料金を削減

データ回線との統合で通信経費が0に

どんな小さな出張所でも本社とのデータ通信は行います。このデータ通信用回線を音声通話でも利用すれば電話用の回線費用は無料になります。内線IP電話機の台数が多くてデータ通信を圧迫しない限りはこの運用で十分です。
データ回線は統合したいがネットワークは分けたい方はこちら

内線IP電話機導入に関する注意点

メーカーによって性能が全く違う

 メーカーによって性能が全く違いますのでできるだけ多くのディーラーから話を聞き機能の違いを確認した上で導入して下さい。
 ネットワークに強い電話工事業者は少ない ネットワークに強い電話業者は残念ながら少ないです。電話業者は専門が電話ですからIPというネットワーク分野には強くない人が多いです。設定をしている人は「設定の仕方は知ってるがネットワークの構築はできない」という場合が多く、構築ができる人は個人的に勉強をしてできるようになったという場合が多いようです。
 大手のベンダーであれば対応可能ですが、中小の電話工事業者に比べ金額はずっと高くなります。

INS1500やひかり電話を利用したセキュリティ対策

INS1500やひかり電話を利用したセキュリティ対策

 こちらでも書きましたが、建物内でのメタル回線の盗聴は比較的簡単です。一方で光ファイバーの盗聴は難しいです。
 そこでNTT東西やソフトバンクが提供する「INS1500」、NTT東西が提供するIP電話である「ひかり電話」を利用するのも対策の1つです。
 いずれもNTT局舎から交換機の手前まで光ファイバーが配線され、交換機の手前からメタルケーブルに変換されます。そのため建物内での盗聴は非常に難しくなります。
 特徴はINS1500はINS64とは別の規格ですので、導入には機器の追加が必要になりますが、スーパーG3FAXには対応しています。
  IP電話はINS64の規格で交換機に収容できますので、既存のINS64用設備を使う事ができます。しかしスーパーG3FAXには対応していません。

専用線・重要回線を守りましょう

専用線も気をつけないと安全ではないんです

「専用線は安全」と思ってませんか。残念ながらそうでもないんです。NTT局舎内はNTTがしっかり管理しています。NTT局舎内までの配線も管理が行き届いているので難しいでしょう。

しかしビル内の盗聴は大丈夫ですか?光ファイバーの専用線であれば光ファイバーを切断して分岐パーツを接続させないと盗聴は難しいですが、メタル回線ですと盗聴は簡単です。

ここではビル内の盗聴対策を書きます。専門の方で「これはちょっと」という部分がありましたらご指摘下さい。

共用部と専用部で対策を変える

電話回線の盗聴対策は共用部と専用部に分けて対策を立てると効果的です。

共用部の構造

ビル内の電話回線は図1のようになっています。
 MDFにはNTTから来た電話回線が引き込まれます。
 IDFにはMDFからのケーブルとテナント内へ引き込むケーブルが集まります。
 電話回線はNTT局舎内から電話機・電話交換機まで1本の線で引いている訳ではなく、途中途中で線をつないで配線しています。MDFーIDF間にもあらかじめ配線がしてあり、この配線とNTTからの線をつなぐ事で電話回線を短時間で配線します。
 MDFは施錠してある事が多いです。しかしIDFには施錠してない事が多いです。そのためIDFは盗聴ケーブルの敷設がしやすいです。一方でMDFの中はケーブルの量がとても多く、この中で盗聴用ケーブルがあるとしても探すのは大変です。
 そして MDFでケーブルを調べるのは大変です。 古くなったケーブルも多いので探している最中にどこかの回線を断線させてしまう可能性もあります。
 テナントビルの場合、悪意のある会社が別の階にテナントを借り、盗聴ケーブルを見つからない様につなぎ、自社のテナント内で盗聴データを取得・・・なんて事も可能になってしまいます。

共用部の問題と対策

問題1:ジャンパー線では盗聴の仕組みが簡単にできる

ジャンパー線とはMDFやIDFでケーブルを接続する細い線です。MDF・IDF内ではケーブルを損傷する可能性が低いため最低限の保護しかしてなく、その代わりに取り回しがしやすくなっています。
 しかしセキュリティの面では貧弱この上ありません。

対策1:「ジャンパーがけは屋内ケーブルでお願いします」と伝える

大事な回線はジャンパー線を使わず屋内ケーブルでがけをしてもらう様にしましょう。太くてかさばってしまいますが、目立つので変にいじる事ができません。

対策2:マルチがけのテナントを避ける

屋外線ケーブルを用いた専用線の配線

室内での盗聴対策

屋外線は硬く厚みがあるため、屋内線に比べてケーブルを剥くのが大変です。また屋内用電話配線と異なり黒いケーブルの為わかりにくいです。

配線は1Pを使う

電話の配線は1本のケーブルの中に複数回線分のケーブルが入っています(写真1)。このケーブルを悪用し、空いたケーブルで専用線情報を他に流す事ができます(写真2)。  これらの処置だけでも室内での盗聴対策

非監視型通話録音で業績UP!

監視でない通話録音が人と会社を伸ばします

私はパナソニック株式会社製通話録音装置「IP−2Way」を数十セット設置してきました。

通話録音装置というと管理部門からの監視というイメージが強いようで、どちらのお客様でも最初の説明の段階では否定的な歓迎を受けます。

そこで私は導入の経緯を把握した上で、
 「通話録音装置を使えば聞きそびれた会話を後で簡単に聞き直せます。」
という話をします。すると表情が明るくなり積極的に話を聞くようになります。IP−2Wayという機械は検索性能や録音データの二次利用という面でも優れているので、導入後も「こういう事はできないか」という質問の電話が来ますし、お客様の所に伺うと担当者以外の方からも質問を受けます。通話録音装置が活用されている証拠です。

つまり監視のための通話録音装置を望む人はほとんどいませんが、業務を助けるツールとしての通話録音装置なら誰でも歓迎するのです。

通話録音の「活用」方法

色々な点で役に立つ通話録音装置ですが、次の点で特に効果が高いです。

1:お客様との会話スキルを上げる教材に利用する

 お客様との会話は大事ですが、スキルを上げる為に時間と人を確保するのは大変です。しかしOn The Job Trainingと称して、まだスキルがないのにお客様からの電話に出させる訳にはいきません。では電話の上手な先輩の横で電話を聞くのかというと業務妨害になってしまいますのでそんな事はさせられません。
 そこで通話録音装置を利用し、電話上手な先輩の録音内容を卓上の電話機で聞く事ができれば、場所も時間も使わず周りに迷惑をかけないで学習できます。
 またお客様の電話に出る様になった後も録音をかけておけば、自分がした電話を聞き返す反省材料にできます。
 ちなみに録音した期間が長い程、社員の人数が多い程、色々なタイプの方の録音サンプルが得られますので、電話をするスキルを大事に考えている会社様は、通話録音装置の導入を検討している方は早めの導入をお勧めします。

2:聞き損なった・聞き間違えたかもしれない会話を聞き直してトラブルを事前に防ぐ

聞き損ない・聞き間違いは誰にでもあります。しかし電話のし直しは信用が損なわれますし、通信費もかかります。曖昧にするのはもっと問題です。
 ところが通話を録音してあればすぐに解決します。ただし「周りに気づかれずにこっそりと」聞けるシステムであるのが必要です。聞き損ないをしたから聞き直しをしているのに、それが社内の評価を下げては意味がないからです。

3:大事な会話を管理職・責任者に聞いてもらう

電話によっては話をした本人だけでは判断できない場合があります。この場合は普通は管理職・責任者に伝えると思います。
 しかし報告書の内容だけでは報告者のフィルターがかかりますし足りない部分もあります。担当者が話を間違って受け取る場合もあります。何より相手の語気というものが正確には伝わりません。
 この時通話録音内容が添付されていれば相手の声を管理職・責任者が直接聞く事ができますので、より正確な対応ができます。
 ちなみにカスタマーサポートやコールセンターといった部署では通話録音データのメール添付が頻繁に行われています。

4:お客様との「会話資産」を保存する

お客様からのクレームは間違いなく「資産」です。未だにクレームをやっかいごととし「処理」に動く会社が少なくありません。しかしクレームをきちんと「解決」すれば以後そのお客様は会社の大事なファンになる事はクレーム関係の書籍に書いてある通りです。
 こういったクレーム、また問い合わせにきちんと対応するためにお客様の声を残すのはとてもいい方法です。そしてお客様の声を社内でも活用すればより多くのお客様が獲得できます。

5:訴訟が起こった場合に証拠として使う

法人での訴訟は1回で数千万円数億円となることもあります。訴訟を防ぐ為に通話録音装置を活用する事は費用も安くとても効果的です。
 私が経験したもので一番印象深かったものは通話録音装置ではなく通話料金管理装置ですが、
 「お客様のマグロが入ったコンテナを輸送中に、中のマグロが腐ってしまいました。これから裁判を行うのですが、マグロをコンテナ輸送する時の注意書きのFAXを送ったか調べたいのです。そこでこの期間中にこのFAX番号にFAXを送ったかを調べて欲しいのですが。」
という秘密の依頼がありました。
そこで過去のデータを調べ、履歴を見つけました。この履歴のおかげで裁判は有利に進んだという事です。
 こういった例はどちらの会社でもある事だと思います。他にも「クレームの通話を探したいからこちらに来て欲しい」という電話は何度となく受けています。
 弊社の扱っている通話録音装置は規模にもよりますが高くても500万円程度で済みます。社員が500人とすると1人あたり1万円の投資で全ての通話を完全に保護できます。会社のセキュリティとしては安くはないでしょうか。

通話録音装置の選び方

通話録音装置に必要な機能は次の通りです。

1:話し始めた瞬間から自動的に録音が始められる

大事な会話は最初から現れることだってあります。その為録音は通話の最初からできた方がいいです。

2:容量がたっぷりある

ちょっと録音したらすぐに容量が足りなくなるようでは会社全体で使う事ができません。

3:通話録音のキャンセルができる

運用の仕方によっては録音の不要な通話もあります。設定次第で録音キャンセルできる機能がある方が便利です。

4:管理者がいなくても録音内容を簡単に聞く事ができる

管理者がいなくては自由に聞けないシステムでは、導入による効果が下がります。

5:録音ファイルへのセキュリティ管理ができる

自由に録音データを聞けるのはいいですが、無関係な人の聞き取り、無断の削除は防ぐ必要があります。

6:専用のアプリケーションを使わないでも聞く事ができる

聞き取りに専用アプリケーションを必要とすると、自由に聞き直しができません。

7:録音データをメールに添付できる

録音データをメールに添付できないと、聞いてもらいたい人に場所と時間の都合をつけてもらわないと聞いてもらえません。

8:録音した後ですぐに聞き直せる

聞き漏らした内容の聞き直しは電話をした直後が一番いいのですが、すぐに聞き直しができないとできません。

9:発信元情報、相手先情報、タイムスタンプが残せる

これらがないと録音データの活用ができなくなります。

またできれば

10:ボイスメール機能

があるといいかもしれません。

最後に

メーカーによって通話録音装置の性能も値段もピンキリですが、もし「監視」ではなく「活用」の為に導入するのでしたら、導入予定の通話録音装置が「通話録音装置の選び方」の欄で書いた機能を持っているか、営業の方に突っ込んで確認する事をお勧めします。特に専用アプリケーションがないと再生できない装置は録音ファイルの2次活用ができません。音質はノイズさえ入らなければ大した問題ではありません。むしろタイムスタンプや他の付加情報の方が重要です。

今一度!電話料金削減提案

通信経費削減を阻むダイヤルインの制限

通信経費削減のためにダイヤルインを利用している法人様は多いと思います。そして図1のように市内局番(弊社で言えば042-328-2354の328の部分)の違う電話回線を1つの拠点で利用している法人様もあると思います。

しかしNTTでは市内局番の異なる電話回線を1つのダイヤルインとしてまとめる事はできません。そのため

のどちらかを選んでいると思います。1では通信経費が高くなります。2ではトラブルが発生します。

図1 市内局番の違いによる回線のグループ分けの制限

相手先へ電話番号が通知されないのが当たり前だった10年前と違い(この頃は交換機に電話番号の通知設定はありませんでした)今は通知されて当然です。

電話回線は自分の番号・同じグループの番号しか通知する事ができないので、図2の様に別グループの回線で発信すると別部署の電話番号が通知されます。そのためリダイヤルが別部署にかかってしまい、相手先にも迷惑をかけ、別部署にも余計な手間をかけさせてしまいます。

また図3の様にグループが違う回線へは着信が来ません。そのため着信用回線を少なくするとやはり業務に支障が出ます。できれば市内局番の違う電話番号を1つにまとめてしまいたい所です。

ダイヤルインの制限を解消するおとくライン

ここで意外と知られていないのですが、ソフトバンクのおとくラインでは市内局番の異なる電話番号同士でダイヤルイングループを組む事ができます(図4)。そのためおとくラインを利用すれば電話回線を絞り込む事ができ、通知番号や着信数の問題を解消できます(図5・6)。

ただし市外局番が同じであればどの番号でもグループ化できるという訳ではありません。東京23区でしたら西の世田谷と東の江戸川の電話番号のグループ化はできません。しかし同じ場所で使用している市内局番の違う電話番号はまず問題ありません。他にも条件がありますのので詳しい事はお問い合わせ下さい。

携帯電話への通信費もさらに下がる・・・かもしれない

もう1つ、おとくラインの「モバイル定額」を契約すると相手先がソフトバンクの携帯電話の場合には通話料金が無料になります(図7参照)。ISDN64回線でしたら1回線あたり月額1050円(税込)です。交換機で携帯へ発信する場合に優先的にこの回線で発信する様にすればかなりの電話料金削減が期待できます。

ただしおとくラインではISDN回線でのデータ通信ができません。そのためデータ通信にも利用している法人様では注意が必要です。

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